Founding Aspiration創業の志

経営信条

経営理念

今や、企業は社会の重要な一機関であり、またそれ自体一つの社会をなしているという考え方に徹すべきである。

かくてツーリストは、本来の事業目的である旅行の販売、斡旋を通して広く国民生活の経済的、社会的、文化的交流に資するという社会的使命を全うしなければならない。同時にまた、ツーリストは、それ自体一つの社会としてみずからの生命の発展、人間の開発を推進し、あわせて経営参加者の幸福をはかって行かなければならない。

ツーリストは、この価値高き企業を存続維持発展せしめるために、全力をもって邁進せんとするものである。

利潤は、かかる目的を実現するための不可欠の手段であり、社会から企業に与えられる報酬である。

ツーリストは、以上の目的を最高度に実現するために、長期的観点に立って最大かつ公正な利潤の獲得を期さなければならない。

方針

新しい企業の経営は合理性、民主性、社会性の統一のもとに行なわれるべきである。そして、今日の経営は次第に所有から分離し、経営者に質的変化が起っている。経営者は専門経営者へと発展し、より高い次元で合理性、民主性、社会性の統一のもとに、企業の社会的使命を達成する広範な責務を負うこととなった。また、今日の企業の国内的、国際的環境は、技術革新、高度の工業化、国際化という厳しい競争のもとにある。

ツーリストは、この時代に処して企業の存続維持発展をはかるために、次の経営方針を設定する。

1.最適のサービスと社会的信用

ツーリストはよりよい、また独創性のある旅行商品を企画販売し、その品質と価格において顧客に対し最適のサービスを提供することにより、社会に有用な企業であるとの社会的認識と信用を確保すること。

2.自主的経営、創意性と機動性

ツーリストは経営にあたり、ビジネスとしての自主的責任体制のもとに、高い創意性と機動性を発揮するよう努めること。

3.経営者と従業員の一体化

ツーリストは経営者と従業員との一体観を高揚し、またトップのリーダーシップはもとより社内相互のコミュニケーションを高め、そのモラールを最も高いレベルに発展し、これを維持すること。

4.最もよい管理

ツーリストの経営を最もよい管理の状態におくこと。すなわち、能力主義を軸とする組織を確立し、分権的管理体制を整え、また機械化等による合理化を推進するとともに、日本的風土に適合した経営の長所を調和的にとり入れること。

5.進歩と協調

ツーリストは不断の進歩を図り、常に斯界のリーダーとなる意欲と誇りを持つとともに、同業他社ならびに関係機関との協調をはかって業界の繁栄に努めること。

以上の経営の理念・方針に従って、企業の社会的責任を全うするために、次の行動基準を定める。

Ⅰ.静かな情熱

われわれは会社を愛し、会社の事業を通して社会に奉仕し貢献したいという熱意をもっている。
しかもその情熱は持続的であって、決して冷めるものではない。

Ⅱ.逞しい意欲

われわれはどのような困難な事態に逢着しても、会社を発展させる意欲が挫けることはない。たとえ痩せた土壌といえども逞しく成育し、さんさんたる太陽の光を直視するあの向日葵のごとく、強烈な生活意欲をもって社業繁栄の道を切り拓いてゆく。

Ⅲ.高い創意性

技術革新を中心とした工業化の時代にあって、現代の経営には強い機動性と高い創意性が要請される。
われわれはこのような内外環境のもとで、今までの経験や専門知識だけに頼っていたのでは、企業を存続維持することが困難となった。広く深い読書の習慣、常に深く物を考えぬく習性、不断の自己啓発 これらが高い創意性を身につける原動力である。われわれはこれらの努力によって実力を養い、実務能力、見識、指導力、決断力等に秀でるとともに、より高い次元の人間性をもった資質を備えなければならない。

Ⅳ.正確かつ敏速な仕事

オペレーションの正確さは経営能率化の要諦である。
われわれは職場における日常の業務を通して訓練を積み重ね、正確な仕事の仕方を完全に身につけ、責任をもって能率的、合理的な仕事を敏速にするよう努めなければならない。

Ⅵ.明るい職場

職場が明るいということは、モラールの重要な根源であり、顧客にとってもまことに快いものである。
われわれは日常の行動において、常に職場を明るくするよう努めなければならない。。明るい職場はリーダーシップ、責任と権限の明確化、コミュニケーション、モチベーション等一連の経営近代化の努力によって裏打ちされるものである。
明るい職場は企業発展のシンボルである。

綱領

われわれはさきの方針に基づき、業務執行の指針として次の綱領を定める。

  1. まず目標と方針を明確にし、計画をたて、その結果を正しく評価しよう。それによって更に計画を前進させよう。
  2. 職場における職務と責任と権限を明確にしよう。仕事は自主的に責任をもって行なおう。
  3. 科学的に仕事をしよう。統計資料を整え、徹底的に調査研究しよう。
  4. 十分に人の意見を聞こう。なんでも言える職場の空気をつくろう。
  5. 進んで計画に参加し、発言しよう。
  6. 十分な利潤をあげよう。その仕事が採算がとれているかどうかをチェックしよう。
  7. 日常業務を徹底的に標準化しよう。そして革新的な仕事に力を向けよう。
  8. 自分の仕事を常に反省し、惰性を打破しよう。失敗を恐れず改善しよう。
  9. 仕事は目的を意識して重点的に進め、能率を高めよう。
  10. 正確、敏速に報告を励行しよう。
  11. 常にタイミングを考え、一歩先んじよう。
  12. 旅行を売る仕事は高い教養を必要とする。貪欲に知恵を身につけ、これを仕事に結びつけよう。
  13. 困難を恐れるな。勇気をもって困難に立ち向おう。努力の不撓不屈の持続によって困難を克服しよう。
  14. 仕事が社会に役立っているかどうかを考えよう。それにはまず顧客の立場に立つことだ一販売も手配も。
  15. 知らないお客こそ大切にする社風をつくろう。
  16. 後継者を養成しよう。しかも自分より有能なものを後継ぎにしよう。
  17. 人間として立派になろう。物質よりも精神を、物よりも心を大事にしよう。

〔昭和40(1965)年9月1日制定〕