取り組み事例

集客から視察ツアーの実施、アフターケアまで。
移住定住促進をめざす自治体を密接にサポート。

印刷用PDF

伊勢志摩サイクリングフェスティバル

シニア層の地方移住を促し、地域での新しいコミュニティづくりをめざす政府の地方創生・日本版CCRC 構想。すでに全国で37事業が選ばれ、動き始めています。その一つが北海道猿払村。地方移住に関心のあるシニア層を確実に集め、まず「旅行」というかたちで現地を訪れてもらい移住へとつなげてゆく…そんな試みを、クラブツーリズムが全面的にバックアップしています。

地方創生先行型企画 地方移住体験プラン 北海道 猿払村

北海道猿払村・クラブツーリズム㈱

事業の概要と価値

シニア層が地域に移住して新たなコミュニティを。

 政府が推進する地方創生事業のなかでも、特に期待されているのが「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想です。
都市部に住む高齢者層が健康なうちから地方へ移住し、新たなコミュニティを形成して地域に溶け込み、就労や社会活動に生きがいを持って生活する。医療や介護が必要となっても地域で継続的にケアを受け、その人らしく暮らしてゆく。東京など大都市圏に集中する医療・介護 の受け皿を地方に分散させる。そうしたまちづくりをめざすこの構想は、政府の世論調査でも都市在住の50~60代の多くが地方移住を希望していることから、地方創生のカギとして位置づけられています。

 この日本版CCRCには、すでに地方創生先行型の先駆的事業として全国37事業(5県32市町村)が選ばれ、それぞれの特色を活かした移住促進への取り組みが進められています。ここでは、クラブツーリズムがその事業推進をお手伝いしている北海道猿払村のケースについてご紹介します。

事業成功のポイント

知ってもらい、来てもらうための2ステップ。

 移住推進のために、シニア層に対して当地をどのように知らしめるか、いかに興味や関心をもってもらい、実際に来てもらって移住定住への動機を喚起するか。それは、日本版CCRC事業を進めるどの自治体にも共通する課題です。
 独自イベントの開催などで各地域と密接につながって応援してきたクラブツーリズムの地域交流部は、その課題解決へ向けて、猿払村の依頼によりPRイベントから移住体験ツアーの募集、手配、実施管理までをトータルに行ない、猿払村の認知を高め、多くの人に実地体験を提供しました。
 移住者招致へのロードマップは2ステップ。一つ目のステップは、これまでに猿払村が募集した「ふるさと納税」に応えた人をターゲットに、ホームページなどで告知を行ない、猿払村の「味覚まるごとフェア」を東京で実施(2015年10月)。このフェアで行なわれた、テレビの料理番組でも有名なシェフによる食の体験会には1,500人以上の申し込みがあり、抽選で選ばれた200組400名がホタテなど猿払村の味覚を 味わいました。
 ステップ2では11月に2泊3日の「北海道さるふつ村移住体験ツアー」を実施。クラブツーリズムによる3回の催行に150人が参加し、近郊のカムイト沼や宗谷岬観光、ホタテ干し貝柱工場や酪農場見学、特産品を使ったディナーなど猿払村の自然・産業・食を体験したのです。行程中には、村が用意した移住体験住宅の視察や村長による移住説明会も行なわれました。

  • スタートを待つ参加者の方々

    猿払村観光大使・脇屋友詞シェフが猿払村食材を使って特別料理を提供

  • スタートを待つ参加者の方々

    味覚まるごとフェアの様子1
     

  • 味覚まるごとフェアの様子2

    味覚まるごとフェアの様子2
     

  • 移住体験ツアーでの牧場見学の様子

    移住体験ツアーでの牧場見学の様子

事業の効果と今後の展望

シニア層へダイレクトに訴求する。

 移住体験ツアー後の参加者アンケートでは、95%の人が「満足した」と答え、また90%以上が今後の移住体験の検討や移住情報希望の意思ありと回答しました。猿払村とクラブツーリズムは、2016年度にも東京での味覚イベントや移住体験ツアーを実施し、さらに実際に暮らして地域の魅力を体感してもらう長期滞在型移住定住ツアーを企画しています。
全国のクラブツーリズム会員世帯数は約300万人。その大半は60代以上のシニア層が中心で、まさしく日本版CCRCの移住対象とぴったりマッチングした、潜在的な移住候補者たちです。
 「旅」というキーワードで集った会員たちは、観光で全国各地を訪れる機会が多く、訪ねた土地を気に入って幾度も再訪するというケースも少なくありません。移住定住への入口は、まずその土地をよく知り、体験し、地元の人々とふれあって当地を好きになること。クラブツーリズムは、まさしく移住予備軍が地域と直接ふれあう機会とモチベーションづくりを提供しているのです。
全国のシニア層を「旅」というキーワードで囲い込み、テーマのあるさまざまなツアーを造成し、旅体験を移住へつなげるストーリーづくりができること。クラブツーリズムの強みは、そこにあります。地域と深くつながり、その魅力を再創造し、地域を活性化する。移住体験ツアーは、そのために有効な新しい手段でもあるのです。

地域からの声

移住体験ツアーの効果は、思ったよりはやく
さまざまな具体的効果が現われています。

猿払村 企画政策課 課長補佐/追久保敦氏

志摩市観光戦略室 観光振興係長/鈴木隆 氏

昨年実施した移住体験ツアーでは参加者の反応がすごく良く、思っていたよりも早くさまざまな具体的効果が現われはじめています。神奈川から参加された男性は、冬の様子も見てみたいと2月に自費で猿払を再訪され、2週間すごされました。地元のおいしいものを提供するペンションを当地で開きたいと、夏に三たび来ていただけるということです。
また、銀行などの企業からも新事業取り組みの提案があり、「移住」をキーワードにさまざまな展開が広がる気配を見せています。
 お陰さまで今年度も東京での「味覚まるごとフェア」、そして6月、8月、9月に2泊3日の「移住体験ツアー」の実施が決定しました。多くの 方に実際に猿払村に来ていただき、現実的な移住の候補地にしてほしいと考えています。
クラブツーリズムの力を借りて感じたことは、一担当者から役員まで会社全体で取り組む「本気度」でした。自治体が何を考え何を求めているかをよく理解して動いてくれる。一方で、参加者の気持ちもよくつかんで、いろんな情報やヒントをいただけた。彼らも、自治体から「観光」以上の新しい魅力を創出することをめざしている。互いに手をとりあってその可能性を共に求めてゆきたいと思います。

PAGE TOP