取り組み事例

オリジナルの音声翻訳アプリが
レンタカーチェーンで観光案内機能強化に貢献。

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 ホテルや旅館のフロントなど接客シーンでの多言語コミュニケーションツールとして近畿日本ツーリストが共同発案した、観光に特化した音声翻訳アプリToTeMo。
 瀬戸内海を囲む七県において、その効果を測る実証実験がレンタカーチェーンの窓口で行われました。

音声翻訳アプリToTeMo 
「観光案内機能強化事業
(せとうち・海の道)」への活用

国土交通省中国運輸局・一般社団法人
せとうち観光推進機構
近畿日本ツーリスト株式会社

事業の概要と価値

観光に特化した翻訳アプリの実力を瀬戸内で試す。

 2020 年に瀬戸内エリアと山陰地方の外国人旅行者数(延べ泊)を25 万人に! を目標に、瀬戸内海に接する県が連携する「せとうち観光推進機構(せとうちDMO)」と国土交通省中国運輸局のもとで「観光案内機能強化事業(せとうち・海の道)」が進められています。中国・四国地域の外国人旅行者の周遊と滞在を促進させるため、受け入れ体制を強化しようというこの事業に、近畿日本ツーリストはコミュニケーションの面からお手伝いをしています。
 具体的には、多言語ロードマップとWeb ページ、立ち寄り観光スポットのリーフレット作成、そして、音声認識・翻訳事業のリーディングカンパニー「フュートレック」との共同で発案した音声翻訳アプリToTeMo を導入・設置し、レンタカー店舗の接客コミュニケーションやサービスの向上を図りました。

事業成功のポイント

運転する外国人旅行者のためのドライブガイドとして。

 実証実験は2017 年11 月から2018 年2月のうちで3 か月間。瀬戸内海を囲む七県(兵庫・岡山・広島・山口・愛媛・香川・徳島)のタイムズ・レンタカーの主な店舗と、瀬戸内エリアのゲートウェイとなる関西空港・福岡空港店、合わせて21 店舗に音声翻訳アプリToTeMo を搭載したタブレット端末が設置されました。
個人旅行の増加にともなって、レンタカーで自由なドライブ旅行を楽しむ外国人旅行者も増えていますが、多くのレンタカー会社は、予約窓口では外国語で対応しても各営業所では追いついていない現状。不十分なコミュニケーションで必要最低限の応対に終始してしまうことも多く、外国人観光客へのサービス向上が課題となっていました。
そこで音声翻訳アプリToTeMo が選ばれ、実際に店頭でその効果を測ることとなりました。交通ルールの説明、安全の注意など手続き関連はもちろん、地域の観光やお店案内、せとうちDMO サイトの「瀬戸内Finder」にドライブ特集を作成・掲載してモデルコース提案も行い、翻訳ツールとして、そして地域の情報提供ツールとして実力を発揮したのです。

  • タブレット

    タブレット

  • 外国人スタッフが検証してい様子

    外国人スタッフが検証してい様子

事業の効果と今後の展望

実証結果をさらに幅広い事業者へ向けて。

 二次交通が未整備な部分も多い瀬戸内エリアではレンタカーの役割は大きく、利用する外国人旅行者数も確実に増えています。実証実験では香港などアジア圏の利用者が多くみられましたが、欧米からの旅行者の利用もあり、さまざまな場面でToTeMo が活躍しました。
 せとうち観光推進機構では実証の結果を積極的に情報発信し、レンタカーだけでなく、幅広い事業者に向けて受け入れ環境整備へ連携することを呼びかけていくとしています。

観光に特化したアプリで細やかな情報提供も行える音声翻訳アプリToTeMo

  • 音声翻訳の様子

    ToTeMoはタブレット端末とヒト型ロボットを組み合わせて、より親しみやすいセットを設置することも可能。

 ToTeMoは、近畿日本ツーリストがフュートレックと共同で発案した、観光に特化した翻訳ツール。ヒト型ロボットやタブレット端末に話しかけるだけでただちに日本語・英語・中国語の音声翻訳ができ、双方向での音声認識や翻訳の精度の高さが強みです。
 また、語彙のカスタマイズができるため、地名や固有名詞にもきちんと対応。交通の時刻表や地域の観光案内、土産品・店舗紹介などにも連携させ翻訳アプリ内でモニターを指し示しながら案内できるので、正確で細やかな情報提供が可能です。
 総務省の「2020年に向けた社会全体のICT化アクションプラン、おもてなしICT協議会2016年幕張地区ホテルでの多言語翻訳実証事業」でもその実績が評価され、便利で使いやすい翻訳ツールとして各地のホテル・旅館のロビーや店舗の店頭などで活躍しています。

地域からの声

急増している個人旅行客をどう満足させるか、
「言葉の壁」を打ち破るために。

一般社団法人せとうち観光推進機構 チーフ/河井潤氏

志上田市シティプロモーション推進室 室長/小林修氏

 瀬戸内地方には有名な宮島だけでなく、多島美や橋を渡って体験する海岸線の美しさなどアピールしたい魅力が多いのですが、交通手段が少なく、旅行者がそれを体験するにはレンタカーは有効な移動手段となっています。
 実際に、域内各空港へアジアからの直行便も増えて香港や台湾、タイ、シンガポールなどの旅行者は確実に増加しており、そしてその多くが個人旅行です。
 しかし、彼らがレンタカーを利用しようとしても、店頭できちんと外国語対応を受けられることはまだ多くない。外国人旅行者はとにかくいろいろな質問をしてきますが、係員がそれに答えられないことが少なくないのです。
ToTeMo は非常に使いやすく、また親しみやすい。「言葉の壁」を打ち破り、旅行者との距離を縮めてくれます。さまざまな状況でホスピタリティの質を高めてくれると期待しており、幅広い事業者への導入を促していきたいと考えています。

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