取り組み事例

村長が先頭に立って地域を動かし
実現したエンタテイメント花火イベント。

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最上川ミュージック花火

東日本大震災の影響をうけて観光客の激減した山形県・最上エリアでは、戸沢村村長が中心となって最上川の川辺を彩る新しい花火イベントを実施、話題づくりと交流人口の増加による地域活性化をめざしています。

山形県最上郡戸沢村

最上川ミュージック花火

最上郡戸沢村ほか最上エリア八市町村・
KNT-CTホールディングス(株)・
近畿日本ツーリスト(株)

事業の概要と価値

大きな観光資源・最上川を「船下り」以外でも活用したい。

山形県北東部、芭蕉がその急流を詠んだ最上川中流域に位置する最上エリア。そのなかでも、ちょうど中央を最上川が横断し、船下り観光の拠点ともなっているのが戸沢村です。昨年9月の一夜、人口5,000に満たないこの静かな村が、にわかに活気づきました。

2011年の東日本大震災の影響で東北地方の観光需要は大きく落ち込み、その打撃は最上エリアをも襲いました。なにか新しい話題をつくって「最上川下り」にも人を呼び戻したいと再生のきっかけを探していた戸沢村の村長が、近畿日本ツーリストグループが集客力ある新たなイベントとして手がけていた「ミュージック花火」のことを知り、JRの山形デスティネーションキャンペーンとも連動するかたちでこの新しい試みにトライ。自らが村議会や関係者を説得するなど大きな意欲でイベントの開催へとつなげたのです。

実施にあたっては、近畿日本ツーリストグループ各社が連携して総合力を発揮、企画立ち上げから集客、実施運営を一括して担うことで県内外から18,000人が集まりました。山形観光コースにこの最上川ミュージック花火を組み込んだクラブツーリズムでは、50台以上のツアーバスを戸沢村に送りこむという盛況でした。

  • メインの観覧場所となった道の駅「高麗館」

    メインの観覧場所となった道の駅「高麗館」

  • 県内外からの観覧者で賑わう「高麗館」周辺

  • 県内外からの観覧者で賑わう「高麗館」周辺

  • 県内外からの観覧者で賑わう「高麗館」周辺

事業成功のポイント

地元住民の理解と協力、警察・消防との連携をワンストップで。

近畿日本ツーリストグループは送客だけでなく、大がかりなイベント経験がなかった戸沢村を全面的にバックアップするかたちで準備から管理・実施まで総力を挙げた協力を行ない、地域の事前理解と協力を得ることにも努めました。

会場となる最上川周辺に広がる稲田の地権者への説明、地元民のための専用無料観覧スペースの用意、公民館や校庭を利用した臨時駐車場の確保と会場への送迎バスの運行、それら有料・無料観客の誘導と安全管理、稲田に燃えうつる危険のある花火の燃えカス管理や翌朝の清掃など、責任をもって円滑なイベント運営のためのあらゆる業務を行なったのです。

また、最上川に沿って走る国道47号は地域の大動脈のため通行止め規制を敷くことができず、現地で事前に迂回案内を告知し、当日の交通整理を重点的に行なって安全とスムーズな交通の確保に配慮するなど、消防・警察・河川局など関係部署との万全の事前調整や協力も欠かしませんでした。

  • 交通整理された国道47号

    交通整理された国道47号

  • 大勢の方がきても混乱が起きないように管理された観覧スペース

  • 大勢の方がきても混乱が起きないように管理された観覧スペース

  • 大勢の方がきても混乱が起きないように管理された観覧スペース

事業の効果と今後の展望

地元住民にも愛されるイベントへ育ててゆく。

こうして、2014年の開催は、多くの観光客を集めただけでなく、地元の人々からも感嘆と賛同の声で受け入れられました。

その好評価に応えるかたちで「最上川ミュージック花火」は、2015年も9月12日に開催されます。近畿日本ツーリストグループも昨年同様のサポートを行ないますが、実行主体としての力点を、戸沢村を中心とする各市町村に置き、自治体が自律的に「自前の」イベントとして運営できる体制づくりを図っています。具体的には、花火の打ち上げに先立って有料観客へ各地域の伝統芸能を披露したり特産品の物販や飲食の提供を行なったりなど、地域密着イベントとして地元色がつよまりました。

集まった多くの人からの「よかった」という称賛だけでなく、地元住民からも「やってよかった」と評価され、また来年もと切望される恒例行事へ。地元と手を取り合いながらそうしたイベントを育ててゆくことは、近畿日本ツーリストグループの喜びでもあります。

「花火と音楽」のコラボを堪能する最上川ミュージック花火

「花火と音楽」のコラボを堪能する最上川ミュージック花火

花火と音楽とを組み合わせてシンクロさせ、ストーリー性やドラマ性をもたせたミュージック花火は、単なる納涼花火とはひと味ちがった、新しいエンタテイメントとして「お金を払ってでも観たい」という観客を遠方からも引き寄せる力を備えています。
 戸沢村では、最上川が大きくL字型に湾曲する地点を打ち上げ点として、絶好の鑑賞ポイントである対岸の道の駅「高麗館」に有料のイス席や芝生席を設けて専用スピーカーで音楽を流し、花火、音楽、そして最上川のスペクタクルが楽しめるエンタテイメントとして付加価値を高めました。

地域からの声

「小さな村でも大きなイベントができる」
そんな自信を村のイメージアップにつなげたい。

戸沢村村長/渡部 秀勝 氏

戸沢村村長/渡部 秀勝 氏

当初このお話を受けた時、私自身もこれほど大規模な、ショーアップされた豪華なイベントだとは想像もしませんでした。お陰さまで各方面から「すばらしかった!」という声をいただき、その反響があまりに大きかったため、当初は一回限りと考えていたものの再度の開催を決断しました。
経験もノウハウもない村としては、昨年はなにからなにまで「おんぶにだっこ」といった形でしたが、今年は村が実質的・主体的にかかわることで地域密着色をつよめてゆきたいと考えています。
ただ、数千万円の予算を使うイベントです、戸沢村単独では無理もある。昨年も協力してもらったエリア内の他市町村にもさらに積極的に参加してもらい、最上地区全体のイベントとして成功させたいのです。
たとえば、有料のお客様には昼間から現地入りしていただいて、最上各エリアの伝統芸能を観たり地元産の物販や飲食を楽しんだりしていただく。そこから最上のゆたかな自然や魅力を知っていただいて、エリア内観光や宿泊にもつなげたいと考えています。
「我々のような小さな村でも、こんな大きなイベントがやれる、多くの人を集められるんだ」という自信が大事だと私は考えています。それが戸沢村の知名度やイメージを上げ、交流人口の増加につながってゆくはずです。ぜひ今年も成功させて、戸沢村の恒例行事として定着させ、最上の新しい名物とさせたい。

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