取り組み事例

四季を通じた「スポーツ観光の町」志摩市の新しい試み、
地元の自然や食を楽しむサイクリングフェスティバルに1000台が参加。

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伊勢志摩サイクリングフェスティバル

マラソン、ウォーキング、ビーチバレーなど年間を通じてスポーツイベントの盛んな町、志摩市。冬場にできるイベントはないか。幅広い層が気軽に参加できて地域の美しい自然や名産のおいしさも楽しめるスポーツは? そうした要望に応えて、2014年の冬、サイクリングフェスティバルの開催をお手伝いしました。

伊勢志摩サイクリングフェスティバル

伊勢志摩サイクリングフェスティバル実行委員会
(三重県志摩市・志摩市商工会・
近畿日本ツーリスト(株)・その他)

事業の概要と価値

温暖な気候を活かしさまざまなスポーツイベントを開催。

三重県志摩市は、志摩半島の東南部、英虞湾や的矢湾などの複雑な入り江と大小多くの島々が繊細で優美な景観を連ねる伊勢志摩国立公園の中心に位置しています。その恵まれた美しい自然と温暖な気候環境を生かし、志摩市では10年ほど前からマラソンやウォーキング、ビーチバレー、シーカヤック、ゴルフなど年間を通じ多様なスポーツイベントの招致や開催に力を入れてきました。

日本各地でスポーツ事業を提案し多くの実績を重ねてきた近畿日本ツーリストグループも、志摩市で開かれたスポーツイベントへさまざまなかたちで加わり、スポーツを通じた集客を周遊観光、宿泊、話題づくりなどにつなげるお手伝いをつづけています。

さらに、年間イベント開催に空隙のできる冬季にもうひとつ、なにか違うしかけが打てないかという志摩市の課題に対して、新たにサイクリングイベントをご提案。この提案は、スピードを競うレースではなく、ファミリーなど幅広い層が参加でき、ゆったりと域内をめぐって美しいビーチなどの景観を楽しみ美味や名産品にふれられる「フェスティバル」として結実し、県内外から1,000名近いエントリー者を集めました。

  • スタートを待つ参加者の方々

  • スタートを待つ参加者の方々

  • スタートを待つ参加者の方々
  • ゆったりと走行する参加者の方々

    ゆったりと走行する参加者の方々

事業成功のポイント

実行委員会のまとめ役としてあらゆる調整とオペレーションを。

この「伊勢志摩サイクリングフェスティバル」の第1回開催は2014年12月7日。運営にあたっては、志摩市を中心として商工会、観光協会、教育委員会、三重県サイクリング協会などから構成される「伊勢志摩サイクリングフェスティバル実行委員会」が組織され、近畿日本ツーリストは多くのスポーツイベント経験で蓄積したノウハウを活かし、そのまとめ役として運営に参画しました。

具体的には、スポーツ関連団体や一般から約100名のボランティアを募って運営スタッフを組織し、それぞれの役割を管理。救護やサービス体制を整え、警察と協力して安全対策や交通整理を行なった他、コース途中のすべてのエリアへ「ゆったりと走って地域の自然や味覚を味わう」という主旨を説明して、安全面で危惧する住民の方々にもご理解をいただきました。

その結果、各エリアで多くの住民の方々が、ボランティアとして参加者へのサービス提供や沿道での声援に参加していただいたのです。

  • ボランティアとして参加者へのサービス提供や沿道での声援に参加していただいた住民の方々

  • ボランティアとして参加者へのサービス提供や沿道での声援に参加していただいた住民の方々

  • ボランティアとして参加者へのサービス提供や沿道での声援に参加していただいた住民の方々

  • ボランティアとして参加者へのサービス提供や沿道での声援に参加していただいた住民の方々

事業の効果と今後の展望

宿泊需要の増加をめざして第2回を開催。

第1回「伊勢志摩サイクリングフェスティバル」には名古屋や京阪エリアを中心に全国からエントリーがありました。自転車を折り畳まずに輪行できるサイクルトレインの運行や往復交通費と宿泊代を割安セットした特別プランの販売により、参加者の67.6%が大会後に宿泊し、その大半が志摩市内の温泉などに泊という効果をもたらせました。事後のアンケートでも90%の参加者が「楽しかった」と答えています。

その成功を受けて2015年11月29日(日)には第2回大会を開催。コース途中に設けられたエイドステーションやゴール後に提供する地域の恵み(あこや餅、さわ餅、てこね寿司などの地元名物)を充実させ、スタート前やゴール後に行なわれるショーや表彰式などのメニューも盛り上げるなど「おもてなし」やエンタテイメントの要素をさらにつよめ、より楽しいイベントとなっています。

  • 提供される食事を受け取る参加者の方々

  • 提供される食事を受け取る参加者の方々

  • 提供される食事を受け取る参加者の方々

老若男女1,000人が風景と食を楽しむ 伊勢志摩サイクリングフェスティバル

老若男女1,000人が風景と食を楽しむ 伊勢志摩サイクリングフェスティバル

志摩地区の観光名所である志摩スペイン村をスタート/ゴールとして、エリア内の名所や風光明媚なスポット、海岸線など自転車専用道+一般道の約40キロのコースをゆったりと走り、6時間ほどかけてめぐるファンライド・イベント。名古屋、関西地区を中心に全国から多くのエントリーがあり、小学4年生から80代のお年寄りまで、家族連れから本格的な自転車ライダーまで1,000名が走りを楽しみました。
さらに多くの参加が予想される平成27年11月29日(日)開催の第2回では新たなコースを設定し、また違った志摩の自然や名所をめぐります。

地域からの声

2016年春には伊勢志摩サミットも開催。
サイクリング観光ルートの整備が急務です。

志摩市観光戦略室 観光振興係長/鈴木隆 氏

志摩市観光戦略室 観光振興係長/鈴木隆 氏

サイクリングやマラソンなど町や路上を舞台としたスポーツイベントにとって、地域の方々の賛同と沿道での声援などの協力はその成否を決める大切な要素でもあります。ですから、志摩市ではイベントを実施するごとに住民の方々の理解と協力を得られるよう努めてきました。 その結果、いまでは住民の多くが「一年中なにかスポーツイベントが開かれている町」として地元を認識し、そこに積極的に加わろうという気運も高まってきているなと感じています。
2016年5月に志摩の名所・賢島で開催される伊勢志摩サミットは、観光面から見ても大きな追い風で、伊勢志摩の知名度も世界的に高まると思います。このチャンスを活かし、各スポーツイベントへも外国人参加者の増加をめざすべく、英語スタッフ育成や市内の多言語表記の充実などを急務として取り組んでいるところです。
伊勢志摩には多くの観光スポットがありますが、広域に点在しているため二次交通の確保が課題です。そこで活用したいのが自転車。随所にサービスステーションを整備して、レンタサイクルをつかった観光ルートをつくりあげることも重要なテーマとなっています。
「サミットの島を走る」という新たな観光の切り口も期待できるため、来年度以降のフェスティバルにはぜひ賢島ルートを設定して話題を盛り上げたいと考えています。
「御食つ国」といわれる恵まれた食、手つかずに残る豊かな自然、そして地元の人々の笑顔。そうした魅力に多くの人にふれてもらい、さらに伊勢志摩を深く体験してほしい。サイクリングフェスティバルや各スポーツイベントは、そのための有効な突破口なのです。

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