取り組み事例

ひとつの県の魅力を徹底的に掘り下げ磨き上げてツアーを開拓。
地域とともに新たな名物をつくる。

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一県の価値ある旅

周遊コースに入っていなくても、県内にはまだまだ見どころや名物がたくさんある! そんな思いで「一県」を見つめ直し、地元からのとっておき情報を受けてプランを練り上げ、知られざる県の魅力を価値あるものとしてお客様に紹介。すでに10を超える県でコース化され、多くの参加者を送り出しています。

一県の価値ある旅

クラブツーリズム株式会社
(全国各県)

事業の概要と価値

一県に限定して「地域と深く交流」する旅をつくる

「周遊ツアーで巡ったけれど、あの県にもう一遍行きたい。コースで回らなかった場所や普通のツアーでは行かないところを訪ねてみたい」

企画のきっかけは、ツアー参加者からのそうした希望でした。これまでさまざまな土地を訪れ、旅慣れた「国内ツアーのベテラン」客も少なくないクラブリーリズムでは、参加者の多くがまだ行ったことのない場所や未知なる体験を求め、既成のツアーに乗らない地元を訪れたい、もっと深くふれてみたいと望んでいたのです。

ならば目的地をひとつの県だけに限定し、県内でまだ知らない魅力に徹底的にふれる旅を用意できないか。新鮮な発見や体験や地元とのふれあいを提供できないか。「一県の価値ある旅」はそうしてスタートしました。

事業成功のポイント

地元も気づいてない価値を掘り起こし、
限定体験を加えて独自の魅力を創出

その旅づくりには地元をよく知ることと地元の協力が不可欠と、クラブツーリズムでは県や観光協会から「これまでと違った視点での地元の魅力」を提案してもらい、埋もれた魅力をもとめて県内をくまなく歩き回わりました。

そこで気づいたのは、「地元の人にとっては当たり前にある、日常のなんでもない」ものでも、ツアーに参加するお客様にとっては大きな魅力や新鮮な発見が潜んでいる場合が少なくないということです。

えっ、こんなところが? と地元の方が驚くような場所や産品でも、お客様を送りだす側から見れば新鮮な発見。ご当地の新たな魅力として輝く原石になります。地域の方々と、そうした視点や意識をすり合わせながら、既存の観光地も絡めて多くの方に魅力の感じられる訪問地を検討し、「一県」の魅力を掘り出すツアーコースが決定していったのです。

県が力を入れていてもツアーに組み込みにくかった場所。地元が気づいてなかった隠れた魅力。他県の人から見れば珍しい個性。そうした素材をクラブツーリズムならではの視点で磨き上げ、旅慣れた人の琴線にふれる旅として仕上がりました。

地元の農家でしかつくられていない作物、旬のものなどそこだけの「食」や工芸品などを通じて地元の人々とふれあう他、例えば山梨県では一般には入れない有名ワイナリー秘蔵のオールドワイン樽が眠る地下蔵を見学したり、新潟県では日本最大規模の地場スーパーマーケットで炊きたておにぎり試食や地酒の試飲から地元の名産品を存分に買物したりなど、個人旅行とはひと味違う付加価値や限定メニューも諸々にプラスされ、ツアーの目玉となっています。

事業の効果と今後の展望

自治体の観光強化策の一環として実績

販売開始から2年、「一県の価値ある旅」がめぐった県はすでに10を超え、ツアー参加者が他県の旅でもリピーター化するなど確実にファンが増えています。ひとたびツアー化された県から、もう一度新たな企画で催行したいと要望されるケースも出てきました。

福井県では眼鏡工房の見学、山口県では「県内の産業遺産をめぐる」といったテーマを設けた学習旅も実施し、男性客にも好評を博しました。この旅を観光強化策の有効な手だてとして積極活用しようという自治体も増えているのです。

参加者数がダイレクトに把握でき、旅の好不評の声をすぐにフィードバックできることも、この旅の特徴のひとつです。農林水産課や産業課とも連携した県のブランド産品振興のPR施策としての活用も期待でき、継続することで新しい試みやテーマへ次々と展開してゆけます。

県の価値を高める鉱脈は、そこかしこにある。それがクラブツーリズムの視点です。それを地元と手を取り合って発掘し磨き上げ、地域からの提案や協力にたくさんの送客で応えること。それこそが自分たちの使命であると、クラブツーリズムは考えています。

クラブツーリズム会報誌「旅の友」にて告知

クラブツーリズム会報誌「旅の友」

毎月1回、ツアーにまつわる情報をテーマ別に紹介しクラブツーリズム会員の皆様を旅へ誘う会報誌が「旅の友」です。首都圏180万部(東日本版)をはじめ、全国で300万部を発行。その大部分は、会員の自宅へ宅配されています。
「一県の価値ある旅」は「旅の友」誌上2ページを割いて特集し、ツアーの見どころだけでなく地元の食や名産品も紹介しています。
また、県の特産品を紹介する「旬を楽しむ地元の逸品」ページ企画や、東京の県アンテナショップにおける読者限定特典企画とも連動しながら、県の魅力を多面的にお伝えしています。

地域からの声

集客力の弱い県東部に注力。
この企画からPR効果を高めたい。

高知県東京事務所/刈谷 晃輔 主査

高知県東京事務所/刈谷 晃輔 主査

高知県では5月から6月にかけて二回催行していただいた「一県の価値ある旅」がいずれも満員で、参加者アンケートでも満足度97%という高い数字を得ました。東京のアンテナショップ「まるごと高知」にも多くの集客があり、PR効果の大きさを実感しています。
ツアーではカツオのたたきなど高知の「食」を中心として、四万十川のホタル観賞や安並水車の里のあじさいなどこの時季ならではの魅力を紹介。通常のツアーにあまり乗らない室戸岬の御厨人窟など県東部もじっくり体験していただいて好評を得ました。
高知県というと桂浜や四万十川など高知龍馬空港より西側の観光地に目が行きがちですが、県東部にも魅力的な場所はたくさんあります。県では、平成27年4月より12月まで東部全域で観光をキーワードとした地域博覧会「高知家・まるごと東部博」を開催予定です。それに合わせて東部地域を訪れるツアーが実施できればと考えています。フランスの巨匠・モネが愛した庭園を再現した北川村モネの庭やゆずの里・馬路村など東部の山間地域は旅慣れた方にも新鮮な魅力を伝えられるはず。この博覧会を通じて県東部の魅力を発信し、集客力を高めたいと考えています。

  • 5月下旬のツアーでは四万十川でホタル観賞も。今後もこうした季節の魅力を織り込んでゆく。

    5月下旬のツアーでは四万十川でホタル観賞も。今後もこうした季節の魅力を織り込んでゆく。

  • 土佐の郷土料理かつおのたたきの「藁焼き」も体験。

    土佐の郷土料理かつおの藁焼きたたきも体験。

  • 空海が修行したとされる室戸岬の御厨人窟。県東部の観光の目玉でもある。

    空海が修行したとされる室戸岬の御厨人窟。県東部の観光の目玉でもある。

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