業種業界問わず人手不足が深刻化している昨今、地方公共団体においても、各種業務を民間事業者に委託するケースが増えています。
近畿日本ツーリスト旭川支店は、2024年(令和6年)10月27日の衆議院議員総選挙において、旭川市選挙管理委員会事務局から、期日前投票所の運営業務を受託しました。
近畿日本ツーリスト株式会社 旭川支店
概要・経緯・背景について
2024年10月27日の第50回衆議院議員総選挙は、解散から投開票まで18日間という、戦後2番目の短期決戦となりました。旭川市選挙管理委員会は、選挙の適正な管理執行という観点から、初の試みとして、期日前投票所の運営業務一式を民間事業者に委託。この業務を、近畿日本ツーリスト旭川支店は、随意契約で受託しました。
その背景と経緯について、旭川市の担当者は次のように話します。「旭川市では、選挙人の方々の利便性の向上を目指し、商業施設等での期日前投票所の開設を年々増やしてきましたが、昨今は選挙事務に従事していただく会計年度任用職員(臨時職員)の確保が難しくなっていること、さらに今回の選挙は準備期間が特に短かったこともあり、会場の設営、準備、運営を限られた時間や人員で行うことが困難であると判断し、期日前投票所の運営業務一式を民間事業者に委託することにいたしました。今回、選挙までの期間が短く、随意契約とせざるを得なかったのですが、近畿日本ツーリスト旭川支店を選定した理由としては、コロナ禍に、旭川市保健所新型コロナウイルス感染症窓口設置業務等で、人材確保、会場設営及び窓口対応業務等の点で類似した業務の実施実績があったこと、また、同社別支店が広島市での期日前投票所の運営を行った実績があり、ノウハウを持ち合わせていることが挙げられます。」
実務について
今回、旭川市が仕様書に示した業務内容は、投票会場の設営・準備・撤去、会場周辺の誘導看板や広告看板の設置・撤去、選挙事務従事者の手配と配置、期日前投票期間の現場運営・駐車場の警備など。近畿日本ツーリスト旭川支店は、これら一式の業務を、開設した12カ所の期日前投票所で、滞りなく遂行しました。
また、旭川市は今回の選挙で初めて、バスを活用した巡回型の移動期日前投票所を導入しました。これは、主に若年層への選挙啓発と、投票率向上を目的とした試みで、2日間に、北海道教育大学旭川校、旭川工業高等専門学校、旭川市立大学、旭川医科大学の4カ所を回りました。この業務も近畿日本ツーリスト旭川支店が受託し、バスの手配及び現場運営などを行いました。
旭川市総合庁舎1階
旭川医科大学
イオン旭川西店2階
振り返りと今後の課題
旭川市担当者は、今回初めて期日前投票所運営業務を民間事業者に委託したことについて、こう振り返ります。「商業施設に開設した投票所の設営では、会場ごとに、人の動線に配慮した提案や、適した掲示物の提案をいただきました。現場運営においては、混雑する会場に人員を多く配置するなど、臨機応変に対応していただきました。こうした、経験と実績を生かした柔軟な対応はありがたく、大変助かりました。」
また、今後の課題について旭川市担当者は、「今回は、準備期間が短かったこともあって十分に実施できませんでしたが、今後は、選挙事務従事者の方々への事前研修を充実させるなど、選挙の適正な管理執行のために、我々もより丁寧な対応を行いたいと思っております」と話します。