取り組み事例

日本遺産の魅力を外国人目線で体感し、
広く海外メディアに直接アピールする。

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日本で学ぶ外国人留学生が日本遺産の認定地域を訪ね、その魅力や感動を海外のメディアや旅行会社へ直接プレゼンテーションする。日本遺産の魅力をリアルに海外へ発信する事業で、近畿日本ツーリストが旅の企画・実施やフォーラム運営など事業全般をお手伝いしました。

日本遺産
国際フォーラム

文化庁文化財部記念物課・
近畿日本ツーリスト株式会社

事業の概要と価値

留学生が体験し、プレゼンテーションし、海外メディアも実体験。

 「日本の地方に、こんな魅力ある歴史とストーリーが秘められていたなんて知らなかった。ぜひもう一度、今度は家族と訪れてみたい」
 日本遺産のストーリーを体験した外国人留学生が伝えてくれた言葉だと、文化庁文化財部記念物課の中村崇志専門官が言います。
 「保存から活用へ」のスローガンのもと、各地に点在する文化財を組み合わせて、ストーリー立てて新しい魅力を創出し世界へアピールしてゆこうと、平成27 年からこれまで54 件が認定されている日本遺産。特に欧米を中心に認知と理解をより高めるべく文化庁が行ったのが、「日本遺産国際フォーラム等実施事業」(以下、日本遺産国際フォーラム)です。
 「まずは日本遺産の認定地域を訪ねてもらい、文化を入り口に地域の魅力を体験してもらう。それを自らの声で海外へ発信してもらう」。中村専門官は、日本遺産国際フォーラムのねらいをそう説明します。
 日本遺産国際フォーラムの事業内容は三部構成で、まず、現地研修として日本で学ぶ外国人留学生に日本遺産認定地域の現場を訪ねてもらい、そのストーリー、歴史や文化的背景を外国人の視点から体感してもらいました。
 そして、その体験や感動を発表する場として海外メディアやジャーナリスト、旅行会社を招いた日本遺産国際フォーラムを開催。海外への発信力ある著名人も参加し、日本遺産の魅力をダイレクトに海外へ訴求する場を創出しました。
 重ねて、フォーラムに参加した海外メディアや旅行会社関係者を認定地域へのエクスカーションツアーに招き、そこでの体験や見聞をリアルな声として広く情報発信してもらったのです。
 結果、冒頭のように留学生たちは大きな感動と発見を得、海外メディアや旅行会社関係者らもネットやSNS、雑誌など多くの場で彼らの体験を記事にしました。

  • 主催者挨拶をされる宮田亮平長官

    主催者挨拶をされる宮田亮平長官

  • 県内外からの観覧者で賑わう「高麗館」周辺県内外からの観覧者で賑わう「高麗館」周辺県内外からの観覧者で賑わう「高麗館」周辺県内外からの観覧者で賑わう「高麗館」周辺

    県内外からの観覧者で賑わう「高麗館」周辺

事業成功のポイント

体験型研修で日本遺産にふれ地域を知る。

 現地研修は、慶應義塾大学、早稲田大学、筑波大学、東京大学で学ぶフランス、ドイツ、イギリス、アメリカなど欧米系を中心とした留学生9名が選ばれました。
 留学生たちが訪ねたストーリーは以下の三か所。
  ①日本茶800年の歴史散歩(京都府宇治市・城陽市・八幡市・京田辺市・木津川市・久御山町・井手町・宇治田原町・笠置町・和束町・精華町・南山城村)
  ②「日本最大の海賊」の本拠地・芸予諸島-よみがえる村上海賊Murakami KAIZOKUの記憶-(愛媛県今治市・広島県尾道市)
  ③「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~(徳島県、高知県、愛媛県、香川県)
 1泊2日の現地研修に先立って、各ストーリーを理解するための事前説明会を各大学で実施。文化庁による日本遺産の概要説明と、訪問地の各自治体担当者から歴史や文化的価値など具体的な説明を受け、背景となるストーリーへの理解と期待を高めたうえで、現地を訪れました。
 日本遺産を訪ねた留学生たちは、お茶や、工芸、まち歩きなどさまざまな体験をし、民泊などで地元民とふれあいました。

  • 日本茶 800 年の歴史散歩 現地研修会の様子

    日本茶 800 年の歴史散歩 現地研修会の様子

  • 村上海賊 現地研修会の様子

    村上海賊 現地研修会の様子

  • 四国遍路 現地研修会の様子

    四国遍路 現地研修会の様子

事業の効果と今後の展望

留学生が海外へナマの声をプレゼンテーション。

  • 文化庁文化財部記念物課 中村崇志専門官

    文化庁文化財部記念物課 中村崇志専門官

 その後、東京で開催された国際フォーラムではその体験をプレゼンテーション。各自が制作した1分間の体験ビデオも披露され、大変好評でした。
 「外国人の受け入れに自信がついた」。現地研修を行った自治体から、そういう感想を受けたと中村専門官は言います。
自らの対応力や、何が欠けているか、何をすればいいのかなどの課題が実感として見え、日本遺産をめぐる外国人旅行者受け入れの方向性がつかめた、というのです。中村専門官は、
 「『なぜ我々のエリアを研修対象に選んでくれなかったのか、次はぜひ立候補したい』という声がいくつもありました。文化庁としてもそうした自治体と力を合わせ、今回の取り組みを生かすかたちで継続的に海外への情報発信活動を行ってゆきたい」と今後の展望を語ります。
 「日本遺産は2020年に向け100件まで増やす予定。地域を訪れ、その地域ならではの文化を楽しむ視点を広げる活動を展開してゆきます」

  • 発表する東京大学の大学院生

    発表する東京大学の大学院生

  • 発表する早稲田大学の学生

    発表する早稲田大学の学生

  • 発発表を終えた留学生の皆様

    発表を終えた留学生の皆様

日本遺産国際フォーラム

  • 日本遺産国際フォーラムの様子

    日本遺産国際フォーラムの様子

 文化庁主催で2017年3月に東京国際フォーラムにて開催。デーヴィッド・アトキンソン氏(日本遺産審査委員会委員)、ロバート キャンベル氏など海外へ発信力をもつオピニオンリーダーも参加し、3つのストーリーを実際に旅した外国人留学生がその体験と成果を発表しました。
 招かれたのは、海外のメディアや旅行会社、日本遺産認定関係者など。うち約40名は、翌日から京都府へ移動し、「日本茶800年の歴史散歩」のストーリーを訪ねるエクスカーションツアーにも参加しました。
 参加者の外国人招聘者の中にはエクスカーション参加中に自らのSNSで日本遺産の魅力を積極的に発信する者も多く、海外への初の本格的情報発信の機会提供の場となりました。
  • 発表する東京大学の大学院生

  • 発表する早稲田大学の学

  • 発発表を終えた留学生の皆様

  • エクスカーションの様子

地域からの声

村上海賊の文化を
しまなみ海道の魅力と組み合わせてアピールしたい

愛媛県今治市 産業部観光課/鳥生幸司 課長補佐・観光担当係長

志上田市シティプロモーション推進室 室長/小林修氏

 今治と尾道が提唱するストーリーは、芸予諸島を本拠として活躍した村上海賊。まず彼らは海の管理集団であり「パイレーツ」ではないということから説明しなければならず、歴史を理解してもらうのは大変でした。言葉の心配もあった。
 しかし、研修を通じて、体験すれば言葉がなくても通ずるものは大きいことを実感しました。
 入り組んだ多島美、その絶景、船に乗っての急峻な潮流体験、海の上を走るサイクリングなど、この地の魅力を身体で実感することでここに根づいた村上海賊の文化も納得してもらえたと思います。
 我々には、しまなみ海道-海の上のサイクリングという大きなコンテンツがあります。自転車で島をめぐり、そこで村上海賊の歴史にもふれる「スポーツ+文化」ツーリズムを独自のアプローチとしてアピールしてゆきたい。

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